”症状を診るのではなく人を見る”。

整体院 楽(Laku)院長、石川さんが語る仕事の流儀

 

元システムエンジニアが整体師にキャリアチェンジした理由

ーー整体を始めたきっかけについて教えて下さい。

石川さん:整体を始めるきっかけをお話しする前に、師である内藤先生との出会いからお話しさせてください。自分の知り合いが「鼻水がとまらない」と悩んでいて、色々な病院に行ったけどダメでした。そのことを母に話したら内藤先生が営む横浜の整体院を紹介されました。実は、そこは僕が小学校1年生の時に、咳が止まらない症状を治してもらった整体院でした。

 

ーーとても縁深い場所なんですね。

石川さん:すぐに咳が止まったという記憶はうっすら憶えていました。その整体院に入ったら、ちょうど施術を受けた娘さんとその親御さんが帰るタイミングで、娘さんが先生にお礼をしているのが見えて。

 

当時、システムエンジニア(以下SE)として働いていて挨拶をする、されることがなくて、整体という仕事に魅力を感じました。

 

ーー知人の鼻水は改善されたのですか?

石川さん:そうですね。鼻水がほぼ出ないくらいにはなりました。施術が終わったのと同時に、その場で「この整体を教えてください。弟子にしてください」と先生に頭を下げ、次の週からそこに通い始めました。これが僕の整体師のキャリアのスタートです。

 

平日は会社員としてSEをしながら、休日はほぼ毎日施術をしていました。そこから、下積みで約5年間、およそ2500人の施術を担当しました。

 

ーー整体師の前はSEをしていたんですね。何をきっかけに独立しようと思ったのですか?

石川さん:実は、私の修行中に先生が亡くなってしまって。最初はどうしようという戸惑いがありましたが、そこからすぐこの整体がなくなったら患者さんはどうするんだろうと考えました。

 

というのも、内藤先生は肩こりや腰痛の人だけでなく、がん、パーキンソン病、メニエール病、弱視、難聴、自閉症といった重い患者さんをたくさん抱えていたからです。とある大病院から紹介されるほど、実績がある整体院でした。「この整体を終わらせてはいけない」という強い使命感が湧いてきて、自分で整体院を始めようと考えるようになりました。

 

ーー「良いものを後世に残そう」という想い、素晴らしいです。そこから会社を辞めて独立したのですか?

石川さん:まだ技術がなかったので、とりあえず30歳になったら独立するとだけ決めて、その後は兄弟子がいる別のお店に、土日の時間を使ってスタッフとして働き始めました。

 

まさか自分が?多忙な環境でうつ病に〜そして自力で克服

石川さん:サラリーマン時代に勤めていた会社は、クライアントの企業に常駐して仕事をしていました。なので、期間ごとに現場も変わります。東日本大震災を機に、今までの場所から別の現場に変わって、私の状況は一変しました。終電まで働くようになり、人間関係も上手くいかなくなって……。

 

気づいたら、仕事の話が全く耳に入らなくなって、前まで理解できたことも分からなくなりました。

 

ーー完全に、うつ状態になってしまったんですね…。

石川さん:最初は、うつという自覚がなくて。認めたくなかったんだと思います。毎朝、涙が流れてきて、しまいには無断欠勤しました。このままだとマズイなと思い、精神科で診てもらったら、「抑うつ状態」と診断されました。

 

ーーとても大変な経験をされたのですね。

石川さん:当時は大変でした。1ヶ月休養して別の現場になりましたが、今度は震えも出てしまいました。もうこの環境にはいられないということで、別のSEの会社に転職しました。そこでも、新しいことが覚えられなくて……。ここにきてようやく、自分のうつ病ときちんと向き合って克服しようと思うようになりました。

 

ーー精神科には行っていたのですか?

石川さん:薬の副作用も出ていたので、途中でやめてしまいました。行動療法の一つである「暴露療法」を自分でやって、徐々に自分の感情と向き合うようになりました。

 

ーー暴露療法って聞いたことないんですが、どんな治療法なんでしょう?

石川さん:あえて辛かった時を思い出して、その状況を第三者視点から見て捉え直すという行動療法です。これをしてから、怒られてもいいから分からないことは全部聞こうと前向きに考えられるようになりました。そこからは、仕事も順調にこなせるようになりました。(※もし暴露療法をやる場合はキチンと専門医に相談してからやってください)

 

ーーうつ病も落ち着いて、仕事も順調にこなせるようになって、改めて整体師として独立する不安はなかったですか?

石川さん:うつ病になっていて辛いときも、整体だけはとても楽しかったんです。そこが心の拠り所だったというか。なおさら独立への想いが高まりましたね。また、個人的に出張整体をやっていたのも大きいですね。

 

どうしても、遠方のお客様は来たくてもお店に来れないという現状があって、出張整体の要望が多かったのですが、兄弟子はお店から離れるわけにはいかないので、そこで僕が担当することになりました。そこで、完全個人として実績がつめていたので、独立することに対する不安はそこまで大きくなかったですね。

 

整体院 楽(Laku)について

ーーここからは、整体院のことについて聞いていきます。」整体院 楽(Laku)のコンセプトについて教えてください。

石川さん:整体院というと、白熱灯で病院っぽいイメージがありますよね。安心できる空間づくりにしたかったので、照明も暖色系に、観葉植物を置いたり内装も温かみのある空間作りを意識しました。

 

内藤先生は、複数の人を同時に施術していましたが、そのやり方は私に真似できません。私は私のやり方で、一人ひとりと向き合って改善することをモットーにしています。完全予約制にしているのもそれが理由です。

 

ーー整体には珍しくYouTubeをしていますが、なぜ始めたのですか?

石川さん:最初は、患者さんに文章でストレッチを伝えていました。しかし、ストレッチは間違って実践すると効果が出ないんです。動画の方が分かりやすいなと思ってYouTubeを始めました。

 

ーー確かに私もYouTubeを見ましたが、とても分かりやすいです。接客で心がけていることはありますか?

石川さん:とにかく、お客さんを安心させることを意識しています。特に、うちの整体院に来るお客さんは病院でも治らなかった方が来るので、ラクにするだけでは足りないんですね。しっかり痛みを消すのが仕事だと思っています。

 

なので「改善します」と約束をします。実際に、内藤先生も患者さんを安心させていましたし、時間外でも施術をしていました。

 

また、病院に「ちゃんと話を聞いてくれない」というイメージを持っている人も多いです。最初は時間制60分でやっていましたが、今はできるだけ問診に時間を割くようにしています。問診を通して、その人となりも分かるし、信頼関係を築くことができます。

 

ーー確かに、忙しいというイメージありますね……。

石川さん:「症状をみるのではなく人を見る」ようにしています。それこそ内藤先生は、ちょっとした仕草から生活習慣を言い当てていました。なぜ人を見るかというと、信頼関係があると患者さんもこちらからお願いするストレッチや姿勢をやってくれるようになるんです。結果、それが患者さんの症状改善にもつながって、また信頼関係が強固になる。この好循環の連鎖が重要です。結局、突き詰めていくと「信頼」が大切なんだとつくづく思います。

 

ーー他の整体と違うポイントは?

石川さん:”1回で結果を出すこと”ですね。なんとなくラクになるだと、治しに来ている人は満足しません。実際に、半分以上の人が1回の施術で9割ほど凝りや痛みがとれています。30年間腰痛だった人が、次の日から腰痛が出なくなった事例、寝たきりの人が杖突いて歩ける事例もあります。

 

ーーこの整体の特徴として、「踏み」と「蹴り」があると思いますが、ぶっちゃけ抵抗がある人はいませんか?

石川さん:最初に「施術中に蹴る・踏むことがあるけどよいですか」という同意書を書いてもらうので、断られることはないです。あと、慢性的に体にコリや痛みがある人は、意外とそこまで気にしていないことが多いです。もちろん、人によって向き不向きはありますが。

 

—–

 

お客様からの声:城所葵さん

ーーここからは、この整体院 楽(Laku)のお客様でもある城所葵さんに、少しお話し伺いたいと思います。まず、どのようなきっかけでこの整体院を訪れたのですか?

城所さん:私は、普段シンガーソングライターとして活動しています。ピアノを練習しすぎて、腱鞘炎になってしまいました。手首から始まって、肩から後ろの方まで痛くなるくらいにまで悪化していました。

 

最初は、1年くらい別の整体院で超音波治療を受けていました。一瞬良くなったのですが、痛みは取れなくて。通院の途中で担当先生が異動になってしまって、そこで別の病院を探していた頃、知人から紹介してもらいました。

 

ーー施術を受けてみてどうでしたか?

城所さん:正直、踏んだり蹴られたりする整体は初めてでびっくりしました(笑)

ただ、終わった瞬間に姿勢がラクだったんです。その頃は、まっすぐ立っているのも辛くて。施術後は、腰の上に背中がまっすぐ乗っている状態になりました。

 

ーー腕のしびれはどのくらいで取れましたか?

城所さん:2週間に1回通院して、大体3ヶ月くらいで取れ始めて、半年くらいで痛みもしびれもなくなりました。腱鞘炎だと思っていたのですが、実は胸郭出口症候群という別の症状であることがわかりました。

 

石川さん:印象的だったのは、施術が終わった後に泣きながら感謝の言葉を言ってくれたことです。あれは痛かったからですか?

城所さん:痛いのもあります(笑)それとホッとしたんですよね。この頃、1年ほどは常に痛みを抱えながら歌ったり、サポーターをしてステージに立っていました。この痛みと一生付き合わないといけないのかと、とにかく悩んでいたんです。

 

ーーもし、初めての人におすすめするとしたら?

城所さん:根本から改善してくれる整体だと思います。接客も丁寧だし、不安があったらなんでも答えてくれます。とりあえず、1回で変化が出るので受けてみて欲しいです!

 

—–

 

ーーこれでいよいよ最後になります。今後のビジョンを教えて下さい!

内藤先生は、「1回蹴るだけで治す」という「神の一手」を目指していたらしいです。なので、そこまで到達したいですね。蹴る回数を減らせれば、患者さんの負担も減ります。そして、もうひとつは、この整体をもっと世の中に広めたいですね。できれば、分院も作りたいですし、このメソッドを多くの整体師に広めるべく、整体師の学校も作れればいいなと思っていますね。

 

整体院「楽(laku)」院長 石川晃

「どこに行っても改善しない人」「この痛みとは一生の付き合いと半ば諦めかけている人」「痛みで仕事や生活に支障をきたしている人」を一人でも多く助けたい。

杖をついて来院した患者さんが帰るときには杖を使わずに歩くなど、その圧倒的な効果が噂を呼び、常に患者さんが絶えなかった今は亡き天才治療家 内藤 森雄先生最後の弟子。

「絶対に治す」という姿勢に妥協がなく、TV取材の依頼も患者さんの迷惑になると断り、ときに患者さんにも怒ることもあった。内藤先生のもと、5年間に渡り厳しい修行を経て、その技術、思想を受け継ぎ、地域で唯一内藤式骨盤矯正を提供する整体院 楽(Laku)を開業。

長年苦しんできた腰痛や肩こり、痺れ、頭痛、メニエール病など多くの患者様から喜びの声をいただいている。遠方からの患者さんやプロスポーツ選手、格闘家、歌手も来院する。